腸活と妊娠力 ~腸の働きと、男女で行う妊娠力の高め方~

近年「腸活」というワードが目立つようになってきたように、腸や腸内環境と健康との関連性に注目が集まっています。今回は、腸活と妊娠力の関係、妊娠力の高め方について考えていきたいと思います。

前提として、妊活は男女両方が身体を整えていく必要があります。

(不妊症のおよそ半数は、男性側に原因がある「男性不妊」であることも分かってきています。)

 まず、腸内環境が乱れることが不妊を引き起こすといわれている理由についてお話しします。悪玉菌優位になり腸内環境が乱れることで、腸の役割の1つ「栄養素の運搬」が機能せず、せっかくとった栄養素が効果的に吸収されません。それだけでなく、悪玉菌により発生した毒素が腸壁から吸収され、血液に乗り体中に運ばれることにより、毒素の影響で細胞や内臓の働きが悪くなってしまいます。そのため精子や卵子へ栄養が行き届かず、細胞の働きも悪くなり、元気な精子や卵子がつくられなくなります。ほかにも、毒素による細胞と内臓の働きの悪さから、身体の冷えを引き起こします。

 また腸は約7割の免疫細胞がつくられる場所でもあります。妊活中の女性の場合は腸内環境が乱れることにより、免疫細胞が精子を異物ととらえ、精子の通過を妨げる抗体を分泌してしまい、受精がうまくいかない場合もあります。

 そして、セロトニンと言われる幸せホルモンの95%は腸でつくられます。セロトニンは精神状態を安定させ、前向きな気持ちにしたり、精神的安定をつくり出す神経伝達物質で、ストレスを感じにくくしてくれます。女性の場合、腸内環境が乱れることによりセロトニンの分泌量が減り、ストレスを感じやすくなることで副腎疲労になり、ホルモンバランスが乱れ、卵子が育ちにくくなります。男性の場合は腸内環境が乱れストレスを感じやすくなることで精子の量、運動率の低下、精子の酸化の原因となります。

 では次に、妊娠力を高めるために今日からできる腸活~ご飯のポイント~についてお話しします。まず1つ目は「腸内細菌が喜ぶ食べ物・量を意識する」。腸内細菌が喜ぶ食べ物は「まごはやさしい」の和食中心のご飯です。お肉や乳製品は量を控えたほうが良いですが、食べる場合はよく噛んで食べること、野菜や植物性発酵食品と組み合わせて食べることをお勧めします。食べる量は腹6~8分目を意識しましょう。また素手で調理をすることで、手についた常在菌が食材へ移り発酵し、その人の腸内細菌が喜ぶご飯になります。(おにぎりや酢の物などが良い例です)

2つ目は「食べる油の質を意識する」。内臓や細胞膜は油でできています。一番搾りで低温圧搾の油を加熱せずいただいたり、青魚、ゴマ、ナッツ、アボカドなどの食材からも良質な油をとることができます。反対に、何度も加熱を繰り返し薬剤での抽出がされているような酸化した油(植物油脂やサラダ油)はなるべく取り入れる量を減らすことをお勧めします。

 ほかにもしっかり呼吸をする、除菌をしすぎないこともよりよい腸内環境を作り、妊娠力を高めるポイントの一つになります。

 妊活期間から腸について知り、腸内環境を整えておくことで、特に女性は妊娠中や産後の身体の整い方が違いますし、腸内環境が整うことで出産時に赤ちゃんに最高の常在菌をプレゼントしてあげられます。男性の場合も赤ちゃんと接することで自分の常在菌を赤ちゃんへプレゼントすることができます。

 「妊娠するための腸活」から、「生まれてくる赤ちゃんと自分のための腸活」という視点で取り組んでみてください。

 

この記事を書いた人
 
管理栄養士
櫻井奈穂さん
櫻井 奈穂(さくらい なほ)
子ども:2歳児(男の子)
保育園、マタニティカフェ、学童保育での勤務経験あり。
10年間の食育の経験と栄養士・口育士の知識を生かし、子どもの食と健康だけではなく養育者であるお母さんの自立サポートを行う育児コンサルを展開している。
妊活中、産前産後、0歳~5歳の食育相談が得意。